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浜松市南区の頭陀寺では、毎月8日と21日に仏教体験教室のひとつ写経体験教室を開いています。
写経体験教室はどなたでも参加でき、下書き入りの写経用紙と筆ペンは頭陀寺側で用意してくれるため、「興味はあるけど、ハードルが高くて…」という方も安心して取り組めます。
書き上がった写経は奉納可能。もちろん持ち帰りも可能です。
今回は頭陀寺での写経体験の手順や、お勧めの服装などのほか、境内の見どころをご紹介!
目次
浜松市最古の道標は山門前の向かって右側に
JR浜松駅から東方面へ約2キロ。浜松市道・中郡福塚線より少し西側の一画に頭陀寺は佇んでいます。
同寺の創建は古く、なんと飛鳥時代。浜松市内に現存する最古の寺院です。
山門の向かって手前右側には、江戸時代中期に建てられた浜松市最古の道標が。
願掛三尊…左:修行大師(弘法大師)、中央:水掛一願地蔵尊、右:浪切不動明王
山門から本堂へ延びる参道には願掛三尊が立ち並んでいます。向かって左から修行大師(弘法大師)、水掛一願地蔵尊、浪切不動明王です。
中央の水掛一願地蔵尊は明治時代前期作。太平洋戦争時に被災しなかった貴重な地蔵尊です。
それぞれに水を掛け、ご真言・ご宝号を唱えながらお参りしましょう。ご真言・ご宝号は、浪切不動明王の足元の案内板に書いてありますよ。
(ご真言:仏様を讃え、縁を結ぶ言葉 / ご宝号:仏、菩薩の名前)
数々の災害や第二次世界大戦中の戦禍に遭いながらも傷ひとつ受けず、現在に至っている難除大師(弘法大師)像は本堂に仮安置されています。
写経体験の前にお参りしてはいかがでしょうか。
写経体験教室の場所は本堂です。
ただ取材当日の本堂では、四国八十八ヶ所霊場と四国別格二十霊場のお砂踏みが行われていたため、筆者は位牌堂で写経をしました。
先祖が眠る寺院以外の位牌堂へ入る機会は、そうそうないと思います。
その場所で写経…。なかなかできない体験にドキドキ。
堂内に入ると、すでに写経体験の準備が整っていました。
文机(座卓)の上には、下書き入りの写経用紙と筆ペン。さて、これをどこまで忠実になぞり書きできるのか。
普段、筆ペンを使う機会は法事等の不祝儀袋(香典袋)を用意する時だけ。筆との接点がない生活を送っている筆者は、その点にもドキドキ。
そうそう。体験時の服装ですが、スカートでも大丈夫。正座した足を隠したい場合は、裾の長いフレアスカートがお勧めです。
写経体験の手順ですが、まず住職の鈴木さんから写経について簡単な説明を受けます。
次に身体を清めるため粉末のお香・塗香をいただき、両掌を擦り合わせ馴染ませます。
塗香の香りは上品で清涼感を持ちつつも、どこなく漢方っぽいような不思議な感じ。気になる方は、頭陀寺の写経体験教室に参加して嗅いでみてくださいね。
その後、住職と一緒に般若心経を唱えます。般若心経にはきちんとフリガナが振ってあるので、読み方に戸惑うことないでしょう。
読経後に住職から修行時代のお話等を交えた短い講話を聴いたら、いよいよ写経開始!
下書きがあっても難しかった心無罣礙(しんむけいげ)の「礙」
般若心経は正式名称を「般若波羅蜜多心経」と云い、般若経の膨大な内容を、わずか262文字(266文字とも)にまとめた経典です。
写経にかかる時間は人それぞれ。早い方は10分間ほどで書き上げるそう。
とはいえ写経は競争ではないので、自分自身のペースで行えば大丈夫。字が多少下手でも、筆ペンと相性が合わなかったことにしておけば大丈夫です。
筆者は40分間ほどで完成しました。
心無罣礙(しんむけいげ)の「礙」は体験者が戸惑いやすい漢字
般若心経の後ろには願いごとと日付、氏名を書き入れます。
願いごとは1つだけでなくてもOK。最近は世界平和を願う方が多いようです。
書き上がったお経は、希望すると毎朝の勤行時に奉納してくれます(※奉納料1,000円)。もちろん持ち帰っても構いません。
お経を書き上げた後は気分すっきり! 筆者は写経後に境内の散策をしました。
松下屋敷ゆかりの三公像
かつて頭陀寺の寺域は広大で、多くの塔頭寺院を抱えていました。戦国時代には境内の一画に松下之綱の屋敷もあり、周辺一帯は「頭陀寺城」と呼ばれたほど。
その松下屋敷は3人の戦国武将とゆかりがあったことから、頭陀寺境内には彼らの像が建てられました。
3人の武将は後の徳川家康、井伊直政、豊臣秀吉で、それぞれ松下屋敷とは少年時代に関わりがあった人物です。
像は三公像と呼ばれ、左から藤吉郎時代の豊臣秀吉、竹千代時代の徳川家康、そして虎松時代の井伊直政の順に並んでいます。
自分たちの未来がどうなるのか分からない。
3人の不安と期待が入り混じったような表情が、印象的だと思いませんか?
松下稲荷堂
松下屋敷に祀られていた稲荷堂を移築した松下稲荷堂は、三公像のそばに。
幼い頃の虎松が参拝したかもしれない稲荷堂へもどうぞ。
松下之綱の屋敷跡地は浜松城から近い場所にもあります。その場所の現在の様子などは、こちらをご覧くださいね。
家康、直政、秀吉と頭陀寺との関わりをもっと深く知りたい方は、山門から入って左手奥にある頭陀寺資料館も忘れずに。
きゅうり封じの穴
本堂のそばにある竹の柵と石で囲まれた場所は、弘法大師が伝えたとされる、きゅうり封じの穴です。
きゅうり封じとは人の身代わりに見立てたきゅうりへ邪気や病根を護符と共に封じ込め、加持した後、そのきゅうりを土の中へ埋めて封じ込める秘法のこと。
頭陀寺では毎年7月の最終土曜日の10:30から行います。事前申し込みが必要なので、詳しくは頭陀寺へお問い合わせください。
頭陀寺の公式サイト(外部リンク)
写経時には指先を使うため、脳の活性化や集中力アップ、さらにリラックス効果も。
心を落ち着けたい。雑念を払いたい。とにかく写経をしてみたい。
そのような時には頭陀寺で写経体験をしてみませんか?
JR浜松駅からバスターミナルへの行き方は、こちらをご覧ください▼
(3枚目の写真:湖西新居観光協会・佐藤拓真、その他の写真および文:麻生のりこ)
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