高柳記念未来技術創造館
“いま”という未来のはじまり。
テレビの誕生を告げた緑色の『イ』の字。
電子方式テレビや放送システムを完成させた『テレビの父』
我々の暮しに不可欠なものとなったテレビ。遠くで起きていることを茶の間に映し出すこの魔法の箱は、れっきとした日本の発明品である。そして、ここがその誕生の地だ。展示物のひとつである当時のギネスブックには『高柳健次郎が1926年、勤務先の浜松高等工業(現静岡大学工学部)の研究室でニポ-円盤(送信)とブラウン管(受信)を用い電子映像の電送実験に成功した』とある。テレビ開発にやっきになっていた世界中の科学者の先をこしての成功だった。その後、電子方式テレビや放送システムを完成させた『テレビの父』の研究や足跡を展示した館内には、テレビ実験を再現した装置がある。手動で円盤を回すと、当時と同じ緑色の『イ』の字が浮かび上がる様はなかなか劇的。それを世界の最先端をゆく快挙の瞬間として迎えたときの高柳氏とスタッフの喜びはどれほどだっただろうか。
フロアの一角にはパソコンや携帯電話、DVDプレ-ヤ-なども並ぶ。これらのエレクトロニクス技術のほとんどが、受像、撮像、電送の3つの基本技術を確立したテレビ技術なしには生まれ得なかったもの。ここで『イ』の字の実験が成功していなかったら、いまの世の中は別のものになっていたかもしれない。
藤岡コレクション
足付きの白黒TVなど初期のTVが並ぶ『藤岡コレクション』(個人より寄贈)。すべて現役でいまの番組が映し出されている。厚さ3ミリの最先端有機ELテレビもあり、テレビ技術の進歩と変遷が一目瞭然で興味深い。