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御城印を求めて群雄割拠に揺れ動いた天竜の城へ。デザインや販売場所もご紹介!

2023.01.10

城好きな方の間で人気の御城印ごじょういんをご存じでしょうか。

これはお城へ登城した記念として購入できる、いわば証明書のようなもの。浜松市内では浜松城をはじめ、11城で販売しています。

多くの山城が築かれた天竜区内では、各地区を代表する城の御城印を販売中。気になるデザインや販売場所のほか、水窪地区の高根城への登城前後に休憩できる施設もあわせてご紹介します。

御城印ってなあに? どこで買えるの?

●御朱印と御城印の違いはなあに?

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左:御城印(浜松城)、右:御朱印(秋葉神社下社)

「そもそも御城印ってなあに? 御朱印とどう違うの?」と思う方もいますよね。

御朱印と御城印との違いですが、前者は神社仏閣へ参拝した際に、神仏と縁を結んだ証しとしていただくものです。基本的にいただけるのは、その神社仏閣です。

いっぽう後者は、城(天守等、建造物のない城跡含む)へ登城(訪城)した記念として購入できる証明書のようなもの。御城印は国内すべての城で発行しているわけではなく、まだ一部の城に限られています。

購入場所ですが、これは登城した城に売店等があればそこで。売店等がない場合は現地から少し離れた施設等で販売しています。なかには同じ御城印を複数箇所で販売していることも。

また御朱印は持参した御朱印帳への直書きが主体ですが、御城印は印刷された書き置きになります。入手時に「授与」していただく御朱印に対し、御城印は「購入」できる点も異なります。

2022年12月現在、浜松市内では浜松城をはじめ11城の御城印を販売しています。

●天竜区内では主要山城6城分を販売中

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天竜区内の御城印6枚

この11城のうち天竜区内で購入できるのは、以下の6城分の御城印です。

二俣城・鳥羽山城・犬居城・中尾生なかびう城・大洞若子おおぼらわかこ城・高根城

購入場所は後述しますが、地域の観光協会や土産物店等、城ごとに異なります。

二俣城と鳥羽山城(天竜地区)

ここからは天竜区内の御城印を順にご紹介しますね。まずは6城の中で最初に御城印が登場した二俣城と、鳥羽山城から。

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二俣城・鳥羽山城の御城印セット

2022年12月現在、二俣城の御城印は鳥羽山城の御城印とセット販売のものと、二俣城単体のものがあります。

販売場所はどちらも天竜浜名湖鉄道「天竜二俣」駅東隣の天竜区観光協会天竜支部のみ。御城印は数量限定品なので欲しい方はお早めに。

●二俣城

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二俣城・鳥羽山城の御城印セット(部分)

浜松城から北へ約20キロ。徳川家康公の嫡男・信康が自刃した城として知られる二俣城は、徳川と武田の攻防戦が繰り広げられた城でした。

現在残る城跡は家康公の関東移封後に行われた改変により、戦国期の様子とは異なっています。本丸へ入ると、斜め左前方に天守台の姿が。石垣は自然石を利用した野面積みです。

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左上:大手門、右上:蔵屋敷南端の土塁、左下と右下:蔵屋敷

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左:二の丸南端から見た3号堀切、右上:蔵屋敷出入り口付近から見た3号堀切、右下:3号堀切内側

本丸から南側には二の丸、蔵屋敷、南曲輪くるわが残っています。

大手門は、本丸と中仕切門等で隔てられた二の丸の東側に築かれた石垣です。北側と南側の石垣は構築時期が異なるとのこと。そして蔵屋敷の東側が一部分低くなっていますが、これは近年の改変によるものだそう。

堀切を歩いてみたい方は3号堀切がおすすめです。

●鳥羽山城跡

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二俣城・鳥羽山城の御城印セット(部分)

鳥羽山城の御城印は2022年11月3日にデビューしたばかり。花と流水が描かれた鳥羽山城の御城印は、どことなく華やかで女性的だと思いませんか?

天竜区観光協会のスタッフに伺ったところ、これは鳥羽山城が迎賓館的存在の城だったことに由来するそう。

というのは、鳥羽山城はここから北東方向へ約600メートル離れた先にある二俣城と対をなす別郭一城べっかくいちじょうだったんです。

迎賓館と執務室。当時、2つの城の間には二俣川が流れていましたが、そのような関係でした。

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鳥羽山城の本丸へは大手道からどうぞ。

大手道の幅は左の石垣から右の石垣まで約6~9メートル。この規模の城郭では、破格の大きさと言えましょう。

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左:東門、右上:東門外側にある暗渠(あんきょ)、右下:本丸周囲の土塁

鳥羽山城の本丸の大きさは南北に約80メートル、東西は約45メートル。その周りをぐるりと土塁が囲んでいます。

土塁の上は歩けるので、時間がある方はぜひ一周してみて。

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左上:休憩所から本丸を臨む、右上:本丸西側の庭園遺構、左下:休憩所から眼下に天竜川を臨む、右下:本丸南西隅の腰巻石垣

なお、現在「鳥羽山城」と呼ばれているのは、家康公の関東入封後に城主となった堀尾氏が改修したエリアです。

家康公が二俣城奪還に向けて1575(天正3)年に本陣を置いたのは、ここよりも400メートルほど東側の山頂だとされています。

犬居城(春野地区)&中尾生城(龍山地区)&大洞若子城(佐久間地区)

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春野にある犬居城、龍山の中尾生城、佐久間の大洞若子城は、いずれも戦国時代には武田、今川、徳川の攻防の地でした。

●犬居城

静岡県立天竜高校春野校舎から北東方向へ約400メートル。犬居城は戦国時代に今川の配下として活躍した天野氏の居城でした。

今川義元亡き後、主家を替え保身を図りましたが、最終的には徳川軍の攻撃を受け落城。現在は城跡に本曲輪、二の曲輪、馬出曲輪、堀切などが残されています。

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はるのいきいき天狗村(熊の親子)

犬居城の復元模型と天野氏の家紋が描かれている御城印は、はるのいきいき天狗村(熊の親子)と月花園の2カ所で販売しています。

●中尾生城

戦国時代に今川の支城だった中尾生城へは、龍山協働センターから西北西へ約2キロ。標高479メートルの山稜一帯に本曲輪、二の曲輪、出曲輪、土塁などを見ることができます。

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龍山森林文化会館

今川の家紋(赤鳥紋)が描かれている御城印の販売場所は、龍山森林文化会館、ドラゴンママ、美杉ファームの3カ所です。

●大洞若子城

JR飯田線「城西」駅から東北東へ300メートル足らず。大洞若子城は水窪の山城・高根城の支城のひとつで、奥山氏一族の山城です。

南北朝時代に創築されたと云われ、本曲輪や二重堀切などが残されています。

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大洞若子城の御城印(S字鉄橋バージョン 表面・折りたたむとハガキサイズ)

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大洞若子城の御城印(S字鉄橋バージョン 裏面・折りたたむとハガキサイズ)

大洞若子城の御城印は、全部で6種類。
JR飯田線で「渡らずの鉄橋」と呼ばれているS字鉄橋や、四神獣がそれぞれ描かれた御城印もあり、どれを購入しようか迷う方も多いそう。どの御城印にも奥山氏の家紋が入っています。

御城印の販売場所は天竜区観光協会佐久間支部、五平餅のまるふく、理容ホリウチの3カ所です。佐久間町へ訪れるたびに1枚ずつ購入するか、一度に全部購入するかはお好みでどうぞ。

高根城(水窪地区)

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搦手門側から本曲輪を臨む

JR飯田線「向市場」駅から南南西へ約800メートル。15世紀前半に遠江とおとうみ最北端へ築かれた高根城は、城内の建物等の様子を発掘調査の成果を元に復元した山城です。

城主の奥山氏は今川、武田、徳川の間で揺れ動きましたが、最終的には武田信玄に従います。その後、武田軍の遠江撤退に伴い廃城となりました。

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左上:中央に土塁を挟む二重堀切、左下:本曲輪南下の守りを固めた虎口、右:断面V字をした薬研堀(やげんぼり)

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左上:本曲輪を囲む土塀と井楼櫓、左下:高根城から見た水窪地区の中心部、右上:井楼櫓内部からの風景、右下:大手門

城内には北から本曲輪、二の曲輪、三の曲輪などが見られ、井楼櫓や大手門、木橋等が綿密な時代考証を経て復元されています。
大河ドラマ『おんな城主直虎』のロケ地としても有名ですね。

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御城印には復元された高根城のほか、武田、新田、奥山の3氏の家紋がデザインされています。なお販売場所は、みさくぼ路の里、水窪の星の駅 碧-AOI-、水窪総合体育館の3カ所です。

御城印に描かれている高根城へ登城してみませんか?

登城前後の休憩は御城印販売店で

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高根城の御城印を販売している「水窪の星の駅 碧-AOI-」では、地元水窪産の野菜や県内産の豚肉・鶏肉を使ったメニューが楽しめます。

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本日の碧お弁当

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インド豆カレー

半円球に盛り付けられたライスは、白と水色の2色で地球をイメージ。水色の部分は無農薬のバタフライピーで染められています。
お弁当、インド豆カレーともに、優しい味わいでした。

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店内では北遠地方の特産品はもちろん、星にまつわるグッズやフェアトレード商品などが並んでいます。御城印と一緒に北遠地方のお土産が購入できると好評です。

水窪の星の駅 碧-AOI-の公式サイト(外部リンク)

龍が舞うオリジナル御城印帳

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「御城印を保管するのに便利な御城印帳も欲しいな」と思った方は、天竜区観光協会天竜支部の窓口へ。

こちらではArtistSora(アーティスト・ソラ)氏による、龍が描かれたオリジナルの御城印帳を販売しています(1冊3,000円・税込み)。

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御城印帳は城主や地域別に入れ替え可能な蛇腹式の差し込みタイプ(ポケットタイプ)。収納枚数は帳面の表面から11枚、裏面から11枚。合計22枚です。

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蛇腹式なので、好きな時に好きなだけ眺められますね。

なお天竜区内で販売されている各城の御城印は1枚300円、二俣城と鳥羽山城のセット品は1セット800円(各税込み)です。

天竜区観光協会の公式サイト(外部リンク)

どの城を落とすことができるのか、掌中に収めることができるのか。
戦国乱世の時代に天竜区内の山城は、勢力地図を塗り替えることができる可能性を秘めた重要な城でした。

どこに従うのが最善なのか、どうすれば一族の保身を図れるのか。
城主たちが守り戦った痕跡を、御城印や城跡からぜひ感じてくださいね。

(12~14枚目の写真:編集部・河野美奈子、15~17枚目の写真:杉山晋也、文およびその他の写真:麻生のりこ)

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