今回訪れたのは、浜松市中央区飯田町にある「関西風炭焼うなぎ店のあおいや」です。こちらは1977年の創業以来、関西風の炭焼きにこだわるうなぎ専門店。

 

 

店主が全国から厳選した最高級うなぎを備長炭で丁寧に焼き上げることで、表面はカリッと香ばしく、身はやわらかな食感に仕上がっています。民芸風の温かい空間で、本物の味を堪能できます。

 

 

炭焼うなぎ あおいやはどんなお店？

 

あおいやは、1977年創業の関西風炭焼うなぎ専門店。

 

創業以来、あおいやの味を守り続けてきたのは初代であり現店主の蜂須賀強さん。蜂須賀さんが修行を始めたのは大学生の頃から。

 

ご両親が経営していた店で関西風うなぎの職人から直接手ほどきを受けて、その腕を磨きました。当時、浜松では関西風うなぎのお店は珍しく、まだ数店しかなかったそうです。

 

開業以来、48年間、関西風うなぎの味を、大切に守り続けています。

 

 

 

屋号に込めた「最高品質」への誓い

 

屋号の「あおいや」は、最高級のうなぎと名高い「青色のうなぎ（青うなぎ）」に由来します。

 

関西風うなぎの調理法では、うなぎをやわらかくできる「蒸し」を行わないので、うなぎの品質がまさに命。

 

あおいやでは、浜名湖産にはあえてこだわらず、全国から徹底して良質なうなぎだけを仕入れています。

 

備長炭で表面と皮はカリッと、身はふっくら

 

あおいやでは、備長炭を使ってうなぎを焼き上げています。

 

 

うなぎの焼き色を見ながら何度かひっくり返し、たっぷりと秘伝のタレに漬け、再び備長炭の上へ。

 

 

関西風うなぎの醍醐味は、この「炭焼きの香ばしさ」だという方も多いのではないでしょうか。

 

うなぎの脂がタレと一緒に炭に落ちることで、煙に食欲をそそる香りが混じります。

 

 

この炭火で焼き上げるうなぎの香ばしい匂いは、あおいやの駐車場に着いた瞬間から訪れる人を魅了します。

 

浜松名物の凧が見守る、温かい民芸調の空間

 

あおいやの民芸調で統一された店内は、白熱灯の光が優しく灯り、ゆったりとした時間が流れています。

 

席はカウンター、テーブル、お座敷があり、家族連れやご夫婦がくつろいでいました。

 

 

天井には、浜松名物の大きな凧「初凧」が飾られていました。2025年の訪問時、飾られていたのは3帖（1辺の大きさが2.4mのサイズ）の大凧。これでも浜松まつりで使われる凧の中では小さいものだそうです。

 

店主の長男のお祝いで揚げた凧をそのまま飾ったのが、あおいやで凧を飾った始まり。今でも凧は5〜6年ごとに新しく作り直しているそうです。

 

 

座敷席のそばに飾られている「つるし雛」は、店主のお義母様が手作りしたもの。こちらは毎年少しずつ新しいものを作って送ってくださるそうです。

 

 

 

おすすめメニューはうな重！

 

あおいやの1番人気はもちろん「うな重」。

 

他にも、肉厚なうなぎを堪能できる「長焼きご飯」や、うなぎの肝や骨を使った一品料理など、うなぎを存分に味わえるメニューがそろっています。

 

今回は、看板メニューの「うな重」（税込3,900円）をいただきました。

 

※価格は2025年9月現在

 

炭の香りが食欲をそそる、関西風ならではの逸品

 

お重の蓋を開けると、炭火の香ばしい香りが立ち上りました。上質な脂がうなぎの表面でキラキラと輝いていて、パリッとした焼き目が食欲をそそります。

 

 

ひと口食べると、表面はパリッと香ばしく、ふっくらとやわらかい身は口の中でほぐれていきます。

 

 

長年継ぎ足されたタレと、炭火で焼かれたうなぎの脂が一体となり、深いコクと旨味が口の中で広がります。

 

しっかりと余韻が残り、山椒なしで夢中でかき込みたくなる美味しさです。国産あきたこまちを使ったご飯はひと粒ずつ立ち、うなぎの食感を引き立てています。

 

肝吸いは、苦味のない澄んだ味わい。

 

 

肝の独特な苦みの原因となる「にがり」を丁寧に潰すことで、子どもでも飲みやすい優しい味わいを実現しているそうです。

 

あおいやの看板メニューは、今回ご紹介したうな重ですが、カップルやご夫婦には「長焼ご飯」と「白焼ご飯」を注文してシェアして食べるのもおすすめです。

 

タレと炭火が香ばしい蒲焼きと、うなぎ本来の味を塩とわさびで楽しむ白焼きの両方を味わえる贅沢な食べ方です。

 

 

初代店主・蜂須賀さんが語る、変わらぬこだわり

 

あおいやが長年お客様から愛される理由は「いつ来ても美味しいうなぎを食べられるからではないか」と語る店主の蜂須賀さん。

 

うなぎは、仕入れ次第で味が大きく変わってしまう繊細な食材です。あおいやでは店主自ら問屋に交渉し、吟味したうなぎだけ仕入れるよう徹底しています。

 

「気に入らなかったうなぎは突き返すこともあるから、卸業者（問屋）からはうるさい客だと思われているかも」と苦笑いする店主。「でも、お客様にとってうなぎは安いものじゃありませんからね」

 

仕事が本当に生きがいみたいになっていると話す店主は、元気でいるうちはうなぎを焼き続けると決めているそう。

 

二代目はご子息が継ぐと決まっており、今は修行中なのだとか。「私は半世紀やったので、息子も半世紀やってくれれば」と嬉しそうに話されていました。

 

 

炭焼うなぎ あおいやの店舗情報・混雑状況

 

住所：〒435-0028　静岡県浜松市中央区飯田町616-2
電話番号： 053-464-6323
営業時間： 11:00〜13:30、17:00〜19:30
定休日：月曜日、他（公式HPをご確認ください）

 

席数：最大40席（カウンター、座敷、テーブル、2階座敷）
予約方法：平日2名以上で予約可能（繁忙期を除く）。AirWAIT設置済。

 

アクセス：東名高速浜松ICから車で約10分。浜松駅からも車で10～15分
駐車場： 4箇所あり、合計39台
駐輪場：あり

 

第3駐車場と第4駐車場はお店から少し離れているので、ご注意ください。バイク・自転車でお越しの方向けに、店横に駐輪場もあります。

 

 

公式サイトはこちら

 

予約は組数限定。予約なしなら平日夜の訪問が狙い目！

 

あおいやは、平日でも11時の開店と同時に満席になってしまうことも少なくありません。

 

長期休み以外の期間でも、県外からのお客様がたくさんいらっしゃり、開店と同時に満席になってしまうこともあるとか。

 

予約は、平日に限り2名以上から受け付けています。予約組数を限定しているので、予約開始となる訪問1ヶ月前に電話するのがおすすめです。

 

予約なしの訪問なら、平日の夜は比較的空いているので狙い目です。

 

 

まとめ

 

初代店主が一代で築き上げた「あおいや」。全国から厳選した極上のうなぎを、パリッと備長炭で焼きあげた食感がたまりません。

 

心落ち着く温かい空間で、職人の生き様が溶け込んだ「本物」の味を、ぜひ一度ご賞味ください。

 

【取材協力】炭焼うなぎ あおいや

【取材・文・写真】岸　桜子