今回訪れたのは、浜松市天竜区にある「浜松市秋野不矩(あきの・ふく)美術館」。
駐車場からゆるやかな坂を上ると、おとぎ話のような独特の世界感を持つ建物が見えてきます。浜松市秋野不矩美術館美術館は、美術愛好家だけではなく建築家も多く訪れるという同美術館はぬくもり溢れる癒しのスポットとしても人気。
浜松市天竜区「浜松市秋野不矩美術館」の特徴や見どころを、詳しくご紹介します♪
目次
ここは、浜松市天竜区二俣町に生まれた秋野 不矩(あきの・ふく)の故郷で1998年(平成10年に)に開館した美術館です。
文化勲章受章の日本画家「秋野不矩」の偉業を後世に伝える目的と、地域の文化振興を図るために建設されました。
「作家が存命中に、作家自身の名前が付けられた公的な美術館が建てられるのは非常に珍しいことです」と話すのは館長の鈴木英司さん。
美術館建設にあたり、秋野画伯が各地の建築物を見て回り、長野県茅野市にある「神長官守矢資料館(じんちょうかんもりやしりょうかん)」のイメージが自己の魂と合致するのではないかと考え、設計を藤森照信氏に依頼。
独特の世界感をもつ美術館が誕生しました。
画像引用:浜松市秋野不矩美術館 公式HP(神長官守矢資料館)
建物には、地元特産の天竜杉や漆喰の壁など自然素材がたくさん使用されており、外観も内装も温かみを感じる美術館になっています。
受付正面の太い天竜杉は、秋野画伯の息子さんがチェーンソーで独特の風合いに仕上げた見ごたえのある柱です。
露出している天井の梁は、秋野画伯が使用していた画材の「黒」と同じ雰囲気を醸し出し、建物との一体感を演出しています。
美術館2階の窓からは、この梁の様子を観察できるようになっています。
扉やサッシは曲面カンナで独特の風合いが施され、思わず触って質感を確かめたくなるほど唯一無二の造形美を生み出しています。
細部にまでこだわった丁寧な仕事は、美術ファンのみならず、建築家も多く訪れるほど。屋根や壁もこだわった材質で作られおり建物自体も楽しむことができます。
秋野不矩美術館開館20周年を記念して、2018年に藤森照信氏の建築・設計で屋外展示物の「茶室」が建てられました。
屋根や外壁には銅板が使われ、地元天竜の子どもたちが藤森氏の指導を受けながら銅板を手作業で曲げ造形に参加しました。故郷を大切に思う子どもたちが増えてほしいという願いが込められているそうです。
敷地内に完成した茶室「望矩楼」は、地元の天竜材を使用。個性的な外観は、美術館との相乗効果で独特の世界観を演出しています。
浜松市秋野不矩美術館は秋野不矩を中心とする作品約330点所蔵。秋野作品を紹介する所蔵品展のほか、年に数回、特別展を行っています。
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画像引用:浜松市秋野不矩美術館 公式HP
秋野不矩美術館が、ほかの美術館と違うところは「履物を脱いで作品を鑑賞するスタイル」です。
足裏から伝わる自然のぬくもりの感触も楽しめるようにと、第1展示室、第2展示室ともに違う全く違うコンセプトで造られています。
入口の側には映像コーナーが設けられ、秋野不矩画伯の歴史を知ることができます。
上映は5分程度ですので、所蔵品展の鑑賞前に見ると、秋野画伯の人柄も知ることができますのでおススメです。
靴を脱いで鑑賞するスタイルの美術館のため、展示室で座ってゆっくりと鑑賞する方もいれば、外の風景をのんびりと楽しむ方も。
みなさん、さまざまなスタイルで楽しまれているようです。
写真提供:浜松市秋野不矩美術館
第1展示室は長方形の長い廊下のような造りになっており、壁は白い漆喰、床には「籐ござ」が敷かれているのが特徴です。
秋野画伯のアトリエにも「籐ござ」が敷かれていたことから、アトリエの雰囲気も感じながら絵の鑑賞を楽しんでもらいたいという思いがあるそうです。小さな窓から入る木漏れ日も雰囲気にプラスされ素敵な空間になっています。
籐ござの上にゆっくりと座って作品を楽しめるのがユニークですね!
第一展示室を進むと、真っ白な空間の第2展示室が出現します。
正方形の展示室の四隅をよく観察すると、シャープな直線で角を出さずに丸く仕上げてあります。
空間に奥行きを持たせ、優しく柔らかな印象を与える工夫がされているそうです。
床は厚さ6センチのマケドニア産の大理石が一面に敷き詰められ、白のような薄ピンクのような幻想的な色をしています。
展示室中央には「パワースポット」と呼ばれている場所があり、床に半円形の立体物が設けられています。ここに座ってじっくりと作品を鑑賞される方も多いそうです。
展示室中央から上を見上げると、北と西側だけに窓が作られています。この窓は、作品をより引き立たせるための採光を計算して作られているそうです。
作品は低い位置に飾られているため、のんびりと座って思い思いのスタイルで鑑賞できるのも魅力のひとつです。
第2展示室は構造上、音が響くため絵を鑑賞するだけではなく、時にはさまざまな楽器演奏によるミュージアムコンサートが開かれることもあるそうです。
素敵な空間を共有するイベント情報などは、浜松市秋野福美術館の公式HPをご覧ください。
2025年11月22日~2026年1月12日まで所蔵品展が開催されます。
展示会のタイトルは「創造の眼Ⅳ~ 天眼~」。展示作品は約35~38点程度を予定しています。
代表作「秋野不矩 ≪姉妹≫ 1946年」に添えられる鈴木館長の解説パネルをご紹介します。
写真提供:浜松市秋野不矩美術館
画像引用:浜松市秋野不矩美術館 公式HP
トイレ:1・2階に女子トイレ、1階に男子トイレあり(バリアフリートイレ1階にあり)
エレベーター:あり
車いす貸し出し:あり
ベビーカー貸し出し:あり
休憩所:館外にあり、休憩用の椅子は館内にあり
バリアフリー対応状況:車いすで移動可能
カフェ・レストラン:なし
売店:あり
売店のおすすめ品 :ポストカード・クリアファイル・トートバッグなど
無料Wi-Fi:あり
充電スポットの有無:なし
コインロッカー:なし(受付にて無料で手荷物預かりあり)
冷水器:テラスに設置
週末13:00~14:00頃が比較的混み合います。待ち時間はありませんが、ゆっくりとご観覧されたい方には、平日の来館がおすすめです。
住所:静岡県浜松市天竜区二俣町二俣130
TEL:053-922-0315
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
所蔵品展観覧料:一般(大学生・専門学校生を含む):310円
高校生:150円
中学生以下・70歳以上:無料
障害者手帳等所持者とその介護者1名:無料
特別展:展覧会ごとに料金を設定
※団体料金については公式HPでご確認ください
予約:団体利用の場合は必須(公式HPに書式あり)
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は開館、翌日休館)
年末年始、展示替え・館内保守日など。(展覧会により休館日が変更する場合あり)
アクセス:
【車】
新東名「浜松浜北IC」から約10分
新東名「浜松SAスマートIC」から約20分
東名「袋井IC」から約30分
東名「浜松IC」から約35分
東名「浜松西IC」から約50分
【電車】
天竜浜名湖鉄道「天竜二俣駅」から徒歩15分
【バス】
遠鉄バス「二俣・山東行」で「秋野不矩美術館入口」(約7分)下車、徒歩10分。
【タクシー】
遠州鉄道「西鹿島駅」よりタクシーで約7分
駐車場:あり
美術館坂下の専用駐車場、または道路を挟んで向かい側の二俣協働センターの図書館・美術館共用駐車場、50台まで駐車可能。
思いやり駐車場:あり
坂の上の駐車場。普通車9台まで駐車可能。
▲本田宗一郎ものづくり伝承館
周辺にはおススメ観光スポットがたくさんあります。ぜひ「浜松市秋野不矩美術館」と合わせて寄ってみてくださいね。
・清瀧寺(せいりゅうじ)
・本田宗一郎ものづくり伝承館
・二俣城跡及び鳥羽山城跡
\\浜松・浜名湖の//
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秋野不矩は帝展初入選から約70年間、新しい日本画表現に邁進し、我が国の芸術文化に多大なる功績を残しました。
何よりも魅力的なのは、対象を慈しむヒューマニズムの表現であり、秋野不矩全作品の根幹を為し、今も多くの人々に温かな感動と活力を与え続けています。
作品と共に建築物との一体感も是非お楽しみください。
画像提供鈴木館長:「館長によるスケッチ」
今回は、浜松市秋野不矩美術館をご紹介しました。
静かな森の中にあるおとぎ話のような世界感の美術館でのんびりと時間をゆだねてみてはいかがでしょうか。
運がよければ特別天然記念物の「ニホンカモシカ」が森の中から顔を出している様子をみることができるかもしれません。
ぜひ足を運んでみてくださいね。
【取材協力】浜松市秋野不矩美術館
【写真提供】浜松市秋野不矩美術館
【取材・一部写真】三井忍
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