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海の湖ルポ 姫街道を歩く 気賀〜三ヶ日編

2021.08.25

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古くから東海道の脇街道として多くの旅人が歩いた本坂通(通称姫街道)を歩いてみようと思い立ち

前回は浜松市東区にある安間起点から、北区の気賀宿までを歩いた。

今回はその続き、気賀宿から三ヶ日宿まで歩いてみたいと思う。

(前回の様子はこちら→https://hamamatsu-daisuki.net/pickup/2021/06/post-54.html

前回まで歩いた区間とは趣きが変わり、石畳の道や史跡が点在し

旅人が多く行き交っていた往時の面影を感じられる行程だ。

昔の人の気分になって歩いてみたので、その様子をお伝えする。

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まずは今回の旅の起点、気賀の宿場町の中心「気賀四つ角」。

ここには気賀の関所が置かれており、今は当時の関所の屋根だけが現存する。

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気賀四つ角から西に向かって「要害堀」と呼ばれる水路が伸び、関所を防備するために掘られ、浜名湖へと繋がっている。

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水路沿いに進むと、小さな公園に到着。

赤池様公園と呼ばれる公園で、約500年前に起きた明応地震によって

浜名湖の南、湖西市新居町にあった神社の御神体が津波に流され漂着した場所だといわれている。

今は小さな公園だが、大地震の津波がここまで到達したのだという先人の教えが今も大切に守られ続けている。

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赤池様公園に流れ着いた御神体は公園の北にある細江神社に移され祀られている。毎年7月に行われる祇園まつりは少し変わっていて、その御神体を船に乗せて浜名湖へと戻し、陸路で再び神社に戻す。「湖上渡御(とぎょ)」と呼ばれる神事が執り行われる。

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気賀宿の端には枡形(ますがた)が今も南側だけに残っている。枡形は、外敵の侵入を防ぐために折れ曲がった道のことを指し、古い宿場町で時折見かけられる。

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ここの石垣を注意深く観察してほしい。なんとひょうたん型の石がはめ込まれている。どうしてこんな形の石を嵌め込んだのか定かではないが、石垣職人の思いを想像してみるのも面白いかもしれない。

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当時の気賀関所の抜け道 犬くぐり道

気賀宿には姫街道の宿場町としての面影が今も随所に残る。すべて観察するには時間が足りないので、三ヶ日へと急ぐ。

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気賀を出発してしばらくはアスファルト舗装の道が続くが、途中から悪路のため車両が通行できない道や石畳の道が現れる。

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左:修理殿松跡 右:小引佐(別日に撮影)

道中には戦国時代の名残の史跡や、姫街道有数の景勝地「小引佐(こいなさ)」など見るものが多く、

歩いては足を止め、また少し歩いては足を止め、中々前へと進まない。

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西気賀を過ぎると本格的な「石畳の山道」になる。

標高約170メートルの引佐峠の前後は急峻な山道となるので、お出かけの際の服装や靴選びには注意していただきたい。特に雨の日やその翌日は落ち葉が多く、足をとられることもあるので注意。

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引佐峠の少し西には、特に急な坂で知られる「象鳴き坂」がある。

享保14年(1729年)に清国商人から江戸幕府に献上されるベトナムの象が

姫街道を通って江戸へ向かう途中、この場所があまりにも急であったため象が悲鳴をあげたことから名付けられたとか。

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私が歩いても大変な坂道。身体の大きな象はさぞつらかったと思われる。また、象を休息させるために宿場に休憩小屋を作ったというから、迎える側もさぞ大変だったであろう。

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山の中の石畳の道を1時間ほど歩くと、みかん畑が広がる「三ヶ日」に到着。

ここからは実に様々な景色が移ろう道になる。

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三ヶ日の代名詞、三ヶ日みかんの畑が広がる中を歩く。夏の間は「摘果」という小さなみかんを間引く作業をしている方が多く、人の姿は見えないけれど、小気味良いラジオ番組が聞こえ、足取りも思わず軽くなる。

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姫街道沿いには、ブランド牛を飼育する牛舎もあり、なんと三ヶ日みかんを加工したエサで育てられているとのこと。

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東名高速道路で姫街道の一部が分断されてしまった箇所もあるが、高速道路を跨ぐ形で姫街道を辿ることができる。人気のない細い山道を歩いたかと思えば高速道路脇を歩くこともあり、ころころと変わる街道の風景が豊かである。

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気がつけば今回の終着点、三ヶ日宿の中心「三ヶ日四辻」へとやってきた。今の三ヶ日宿は新しい建物が多く、宿場の雰囲気をあまり感じられないが、建物や土地に奥行きがあったり、細い道が入り組んでいたり、宿場独特の町割が残っている。

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気賀と三ヶ日。

何も山間の姫街道を歩かなくても、国道があり、鉄道もある。

車や鉄道で20分もあれば行ける時代に、なにも歩かなくてもと思うかもしれないが

姫街道を歩くことで歴史だけでなく自然や産業、人の営みなど「風土」を感じることができる。車や鉄道では見えないものが、道を歩くことで見えてくることもあるだろう。

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今回の行程はこちら。

気賀宿から三ヶ日宿まで、私の記録で12km、4時間30分(休憩除く)であった。

昔の単位で言えば12kmは約3里になる。前回安間から気賀までの4里半を足すと全部で7里半(約30km)。

昔の人なら1日で歩いていた距離だ。

私の足腰の疲労感からすると、とても考えられない。

三ヶ日宿から先、本坂峠までが浜松市になる。

ここから先は難所続きの峠越え。また機会があればご紹介したい。

歩いた詳細については下記ブログをご参照ください。

奥浜名湖ツーリズムセンターブログ:https://okuhamanakotourism.hamazo.tv/e9195377.html

参考資料:浜松市文化財ブックレット 姫街道を歩く(2016年浜松市)

 

編集部・カメラマン:荘司哲

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