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待ってでも手に入れたい。天竜の山で作られる、世界的レストランが認めたカトラリー

2021.06.30

"おうち時間"が長くなり、料理にこだわる人が増えている。美味しい料理が出来たら人にも見せたくなるからか、SNS映えを意識した食器やカトラリーが人気だと言う。

 

浜松市天竜区の山の中で、SNS映えだけでなく使い心地も満足するカトラリーが作られていることをご存知だろうか。世界的なレストランのシェフに認められ、2019年秋の木村拓哉さん主演ドラマ「グランメゾン東京」では、ライバルレストランgakuのお料理と供に使われた。

 

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【工房にて。青い豆皿、カトラリー(スプーン・フォーク)、新作の丸皿】

 

天竜区に工房を構える湯浅ロベルト淳(ユアサ・ロベルト・ジュン)さんの作品だ。

Instagramで初めて見た時、タグの「#木工」「#木彫」の文字に目を疑った。それまで私が持っていた木製カトラリーのほっこりしたイメージと違いすぎたからだ。木の食器に興味がなかった私が、一見硬質で冷たさを感じる静かな作品たちに魅了された。なぜなら、木彫とは思えないほど華奢で繊細なスプーンやフォークが写っていたからである。

 

実は、紹介したい気持ちと秘密にしたい気持ちが私の中でせめぎ合っている。私自身未だに手に入れることが出来ずにいるからだ。浜松市内で展示がある日には朝から20人以上が並び、オンライン販売では数秒で売り切れるほどの人気作品なのだ。

 

写真で知って2年、初めて直接作品を見る機会に恵まれた。初夏の晴天の日、ロベルトさんの工房を訪ねた。

 

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浜松駅から車で北上すること1時間。工房は、茶畑と杉林を見下ろし、遠くの山々を一望できる場所にあった。

 

母屋の横には、ロベルトさんが寝泊りをするキャンピングカーが止まっていた。

 

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森からキツツキが木をつつく音が響く。作業音を気にせず製作に集中できる場所として、ここを選んだそうだ。

 

平日は工房に籠って製作をし、週末に片道1時間ほどかけ、家族が待つ市内の自宅に戻る生活を続ける。

 

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ロベルトさんはブラジル・サンパウロ生まれ。高校卒業後に来日し会社員として働いていたが、2008年、リーマンショックで一年間の自宅待機となった。これがきっかけで、もともと好きだった木を使ったモノづくりを始めた。今から13年前、35歳の時だ。

 

作品作りは全て独学というから驚きだ。全国のクラフト展に出展するうちにファンが増え、今では東京や大阪などの作家物を扱う食器店をはじめ、中国など海外からも注文が入り製作に追われる日々だ。

 

母屋の横に建つ工房でお話を伺った。

 

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全ての工程を一人でこなす。

 

カットなどは機械で行うが、9割方は手作業のため作れる数にどうしても限りがある。現在、注文待ちが多く新規の取引は断っているそうだ。

 

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当初は、屋根と柱しかなかった農機具小屋を自身で作り変えて工房とした。

 

まず屋根を張り替え、壁を作り、床を張った。そして機械を入れていった。

 

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ロベルトさんの作品の中でも人気のカトラリー。2018年、デンマークの世界的レストランのシェフからオファーを受け、それ以前の作品よりも一回り薄く細い今の形に変化した。

 

2018年6月。世界一のレストランに4度も選ばれたデンマークにある「noma(ノーマ)」の姉妹店が、東京にオープンした。

翌年にはミシュランの二ツ星も取得し、2019年秋のドラマ「グランメゾン東京」に登場するgakuの料理監修をしたことでも話題になったレストラン「INUA(イヌア)」だ。

 

INUAオープン前年の12月、Instagramでロベルトさんの作品を見たデンマークの担当者から連絡が入り、シェフの要望に沿い調整を重ね、ギリギリまで薄くなったカトラリーと器がお店に並んだのだ。

 

カトラリーが器に当たる音まで計算しているというINUAの料理。ホームページに掲載されているコンセプトブックを見ると、TABLEWARE(器とカトラリー)のページには、「核となる木工作家のひとり」としてロベルトさんが紹介されている。「静岡県浜松市で......」と紹介される文章を読んで、同市民として私まで誇らしくなる。

 

(INUA コンセプトブック )

 

INUAに来店した海外のお客様から、買いたいという問い合わせもあったそうだ。目と口が肥えた美食家も手に入れたくなるカトラリーなのだ。

 

残念ながら、来店客の7割が外国人だったINUAはコロナ禍の影響を受け去年3月末より長期休業し、今年3月に閉店を余儀なくされた。現在、ロベルトさんのつくったカトラリーを使って世界最高峰の料理を食すことは叶わない。

 

だが、天竜の山の中にいてもInstagramで世界と繋がり、選ばれる凄さを感じた。 

 

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スプーンの窪みを削る作業を見せていただいた。

 

カトラリーには、程よい硬さと強度があるヤマザクラを使用。

 

天竜で木工作品を作っていると聞くと、「天竜杉やヒノキで?」と思ってしまうが、加工には適度な硬さと強度が必要なため、柔らかなスギ・ヒノキではなく硬い木質の広葉樹を使う。 

 

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一刀一刀、木目に逆らわずに彫刻刀を入れる。想像していた以上に慎重な力加減と集中力が必要な作業だ。

 

作るものによって力がかかる場所が違うため、慣れていても手にマメが出来る。一日10本が限界だそうだ。

 

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完成までの道のりは長い。彫り終わり形になった後も、漆を塗る工程を4、5回繰り返してやっと完成となる。

 

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驚いたのは、光沢のある滑らかな表面がナイフで彫っただけということだ。サンドペーパーは使わない。

 

木目に沿って彫ることによって、艶のある滑らかな表面が生まれる。

 

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【フォークの製作工程】

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形を糸ノコ盤でカットした後は全て手作業となる。

 

「飾ることが好きではない。」と言うロベルトさんの作品は、シンプルなデザインが特徴だ。だが、シンプルというだけに収まらない繊細なフォルムと彫り跡の美しさが人気の所以だろう。

 

一番のこだわりは、使いやすさだ。「見た目が良くても、使いにくいと使わなくなるでしょ?」と。

 

重さや大きさだけではなく、口当たりが重要なのだ。スプーンやフォークは、口の中に入るものだから、と言われて初めて意識した。たしかに口の中の感覚は、髪の毛一本入っただけでも気づくほど敏感だ。口当たりが変われば、料理の美味しさ違ってくるのかもしれない。

 

華奢に見えるカトラリーだが、硬い木質と漆は見た目以上に強度がある。

 

食洗機と電子レンジが使えないことと、硬いスポンジで擦らないように注意する他は、特別な手入れが不要なのも漆器の魅力だ。

 

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カトラリーだけではなく豆皿等の食器も、想像していた以上に美しく軽く滑らかだった。プロカメラマンでない私の写真でさえ、これだけ美しく映える。

 

ますます欲しくなったが、製作品は注文分のため工房で購入することは出来ない。工房の見学も受け入れていない。

 

ロベルトさんのInstagramをチェックし、展示会や販売会情報を待つしかないのだ。

 

「たくさん作れないから、待たせてしまって申し訳ない」と言っていたが、全国、世界のファンが待ってでも手に入れたくなるものが天竜で作られていることを誇らしく思う。

 

私も、地元でつくられているものを待ってでも手に入れ、大切に使いたい。

 

次回の展示会がますます待ち遠しくなった。

 

 

Instagram湯浅ロベルト淳

https://www.instagram.com/roberto_jun_yuasa/

編集部:海の湖HAMANAジェンヌ 廣上 明子

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