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昭和23年創業の株式会社栄商会は、眼鏡ケースや眼鏡クロスなど、眼鏡に関するオリジナル商品を主力に取り扱っています。
そんな栄商会の商品の中でも注目したいのが、水に浮くランドセル「ウクラン®」。
東日本大震災で心を痛めた方からの「子どもたちを水害から守る、水に浮くランドセルを開発してほしい」という依頼をもとに「繊維を扱う会社として出来ないことはない」という信念でランドセル開発に着手。
約4年の歳月をかけて「ウクラン®」を完成させました。
今月のイチオシは、浜松市中央区神立町にある「株式会社栄商会」をご紹介します。
昭和23年創業の株式会社栄商会。
初代代表の吉澤陸夫さんが、遠州地域の特産品繊維「別珍(ベッチン)」を使用したメガネ拭きの製造販売を始めたことが、栄商会の始まりです。
当時の眼鏡レンズはガラスが主流で、眼鏡拭きには綿別珍が多く取り入れられていました。
創業当時は眼鏡拭きからスタートした栄商会ですが、徐々に眼鏡関連商品を増やしていきました。
現在は、眼鏡関連商品のほかに、持ち込み企画にも積極的に対応し幅広顧客のニーズに応えています。
眼鏡関連商品から始まった栄商会ですが、吉澤隆さんが代表を務める現在では、持ち込み企画にも積極的に対応。
その1つが水に浮くランドセル「ウクラン®」です。
2011年の東日本大震災では、多くの子どもたちも津波の犠牲になりました。
「同じことを繰り返さないために、浮くランドセルを作りたい」と取引先から企画の提案があり、ランドセルづくりをスタートした栄商会。
最初はサンプル品だけ作る予定でしたが、依頼者の方が何社もサンプル作りを断られた経緯があることを知り、栄商会で一括して商品化に向けて協力する体制を整えました。
2018年から開発がはじまり、コロナ禍で中断した時期もありましたが、約4年の歳月をかけて「ウクラン®」が誕生。
画像引用:株式会社栄商会公式HP
ウクラン®の蓋の部分には、水泳用具の「ビート版」と同じ素材のウレタンが内蔵されています。
ウクラン®を背負ったまま、蓋を頭の上から腹側に回して固定すると、体を挟む形の救命胴衣になります。
画像引用:株式会社栄商会公式HP
また、蓋の中のウレタンの比重を計算してあるため、ウクランを装着するとウレタンの性質から上向きになり、あおむけの体勢で顔を水面から出して浮くことができます。
波などに対応するために、腹ベルトと股ベルトで固定することで脱げないような工夫もされています。
シンプルな設計なので、子どもでも簡単に取り扱うことができるそうです。
さらに、いざというときはランドセルの蓋の両サイドについているひもを持つと防災頭巾にもなる仕組みです。
「ウクラン®の開発は、命を守るという大きなテーマの仕事でした。ライフセーバーさんをはじめ、多くの方の協力があり達成できたものです」と話す吉澤社長。
当初は子ども向けに「ランドセル」としての販売を想定していましたが、昨今の大地震や洪水などの影響もあり、ランドセル以外に一般家庭の防災グッズ入れとしても注目をされています。
防災展でも大きな反響があったウクラン®、2024年の3月から幅広い層に向けた販売を行っているそうです。
顧客のニーズに柔軟に対応する栄商会。
「年齢を重ね、バネ式の眼鏡ケースを開けることが難しくなった」という声を聞けば、ワンタッチで開く眼鏡ケースを開発。
日本とイタリアで特許を取得し、ベストセラー商品として親しまれています。
「眼鏡ケースが鞄の中で幅をきかせている」と聞けば、折り畳み式の眼鏡ケースを作るなど、お客さまの声に耳を傾け柔軟な姿勢で物づくりをしています。
ある時は、店舗に飾られているディスプレイ用の大きなカメレオンのぬいぐるみを「プロポーズ用に使いたい」と依頼がくれば快く貸し出し、常識的な範囲で真剣に向き合う一面も。
最初から無理とは言わずに、まずは話を聞いて誠心誠意対応するのが栄商会のモットーだといいます。
「子どもたちが、眼鏡を置きっぱなしにしてしまい困っている」という声から生まれたアニマルシリーズの眼鏡スタンド。
眼鏡スタンド以外にもゴルフボール入れなど、さまざまな用途で愛用者も多いのだとか。
このアニマルシリーズの企画・デザインは、社員の藤田悦子さんが手がけているそうです。
父は工業デザイナー、母はアニメーターという環境で育った藤田さん。
愛らしいデザインは藤田さんが担当し、シャープなデザインは代表の吉澤隆さんが担当するなど、栄商会の企画デザインは社内で行っています。
また、アニマルシリーズの1つとして、かわいくて便利な「アニマルクリーナー」のシリーズも展開されています。
スマホクリーナーと眼鏡拭きが一体化している便利なアニマルクリーナー。
眼鏡拭きクリーナークロスは、汚れたら取り外して洗うことができます。取り外し口のボタンもオリジナルで、それぞれの動物に合わせてかわいいボタンがとりつけられているのが魅力です!
遠州地方は温暖な気候に恵まれ、綿の産地として栄えました。
職人が丁寧に織り上げた「遠州織物」は、大量生産することができない貴重な織物です。
栄商会は10年ほど前から「遠州織物」をつかった商品を販売しています。
さまざまな表情のある遠州織物の生地を使用した眼鏡ケースは王道商品。
ほかにも、顔部分はスタンドに、耳パーツは取り外してメガネ拭きになる「あにまるふぇいすスタンド」や、カバンに着ければチャームにもなるアニマルクリーナーなど、愛らしいデザインと地元の特産品の遠州織物の魅力が融合した商品が多数そろっています。
ガラスのレンズの汚れ落としに有効とされた綿別珍から始まった眼鏡クロスの歴史。
「木綿往生」という言葉があるように、綿は最後まで使い果たすことができる素材です。
現在のプラスチックレンズの汚れ落としはマイクロファイバーが主流ですが、栄商会では、もう一度原点に立ち返る意味で自然環境に優しい眼鏡クロスの開発をはじめました。
数ある繊維の中から選んだのが「テンセル」。
森林認証された樹林に生育し、伐採されたユーカリのパルプを原料とした100%植物由来の繊維を使用しています。
製造過程に使われている水と溶剤は99%以上がリサイクルされ、何度も繰り返し使用されています。
天然素材の「テンセル」は土に埋めると分解され、土に還ります。素材自体も生産工程においても環境負荷の少ない世界基準のサステナブルなクロスです。
山で鹿が大繁殖していることにより殺処分され、解体されることなくほぼ山へ捨てられる現状を知った栄商会は「最後まで命を大切に」をモットーに、地元のジミートさん達など山の問題に取り組む方々と協力し、状況の改善に向けた取り組みを進めています。
駆除された鹿が解体され「肉はジビエ料理、骨はスープ、皮はなめし屋で商品用の革へ」のサイクルが整うことで、そのまま山に捨てられずに大切な命を形として残すことができます。
栄商会では鹿革をつかった眼鏡ケースをはじめ、ペンケースや斜め掛けバッグ、ミニウォレットなどさまざまな形にして山の現状に向き合っています。
株式会社栄商会は、最初は磐田の綿別珍を使用したメガネ拭きを製造販売してきました。現在はその時代に沿った、新しい物作りに挑戦しています。
先人達が築き上げた客先を大事に、また新しいお客様とお取引できるように、日々クオリティ技術の向上に努め、社員全員一丸となって今後も努力して参ります。
日々自分なりにアンテナを高くし、情報収集をしています。
いろいろな素材に出会えたり、違う業種の方々とお話をさせていただいたりする機会が多いので、その度に新鮮な気持ちになれます。発見もあり、いつも地元の方々には刺激を頂いています。
もっともっと地元の素材を生かし、今後も商品作りに励んでいきますので、栄商会をよろしくお願いいたします。
今回は株式会社栄商会をご紹介しました。
吉澤社長はじめ、スタッフのみなさんが生き生きと働いている会社だからこそ、温かい商品が誕生することを実感しました。
通販サイト以外にも、本社で直接商品を購入することもできますので、ぜひ足を運んでみてくださいね。
株式会社栄商会
静岡県浜松市中央区神立町116-5
☎053(464)0601
公式サイト
通販サイト
【取材 三井忍】
【写真提供 株式会社栄商会】
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