Home > 体験レポート > 手作り”ソーセージ”をつくる
お肉の風味を手軽においしく楽しめるソーセージは、子供にも人気の身近な食べ物。
「それにしては、案外作り方って知らないよね」と、夏の終わりの黄昏どきに、隊長がぽつりつぶやいた。知りたいことはパソコン検索ではなく、体当たり体験取材で肉体に刻み込むのが“だいすき道”である。
隊長と私、そしてS隊員が翌週向かったのは、2000年に行われた食肉産業展の『銘柄ポーク好感度コンテスト味覚の部』で堂々の1位に輝いた、それはそれはおいしい銘柄豚“浜名湖そだち”を育てている「とんきい。」
大将の鈴木さんは、食べ物の本当の味を伝えていきたいという思いで、“浜名湖そだち”を使った手作りソーセージ教室を開いているのだ。簡単にして、味わい深い手作りソーセージ体験を通じて、だいすき隊は日本の食の危機とソーセージのおいしさを体感したのであった。
ここが、今日の突撃先です
やれ偽装牛肉コロッケだの、薬漬けの輸入養殖うなぎだの、賞味期限切れ菓子だの、食の退廃ここに極まれりの感ある、わが“豊かなる国”日本。産地も残留農薬量も栽培法も、疑いはじめたらキリがない。本当のことなんて、わかりゃしないと、もはや諦念なさっている方も多いのではないだろうか。
なかでも、いったい何が入っているのかわからないもののひとつが、ソーセージだ。
「市販のソーセージってさあ、ちょっと妙なものが入ってんだろうなってわかって買ってるとこ、ない?」と、隊長。「あるある」と私。「それでもいいなら買ってくださいっていわれて買ってる感じよね。」そんなアバウトなソーセージ人生を送ってきた我々は、本場ドイツでソーセージ文化を体得してきた『とんきい』の大将、鈴木さんの話に驚かされた。
「卵アレルギーの子供さんが、ハムやベーコンを食べて症状が出てしまうことがあるんですよ。なぜだかわかりますか?」お肉屋さんの隣にある、とんきいのバイキングレストランで、手作りソーセージセットを用意して、笑顔で迎えてくれた大将が、ひと通りの手順を説明したあと、表情を曇らせて我々にそう聞いてきた。
なんでハムを食べて卵アレルギーが?頭の上に???をたくさん浮かべてアホ面を並べるだいすき隊に説明してくれた鈴木さんのなぞときは、次の通りである。
「日本ではハムやベーコンに、卵白をドロドロの液状にしたものを肉にインジェクション(注射)して肉のカサを増やしたりしているんです。他にもいろいろ混ぜ物をしているものが多いですね。肉と混ざってしまえばよくわからなくなりますから。それはソーセージも同じです。」
「へえ〜。」あきれるだいすき隊。直径1センチほどの棒に通した羊の腸と、200ccのミルク、香辛料、そして、世界的ソムリエ田崎真也氏をして「バタークリームのような味」といわしめる浜名湖そだちの挽き肉1キロ、という非常にシンプルな構成の材料を前に、鈴木さんは続ける。
大将の鈴木さんが、ソーセージについていろいろお話ししてくれる。
「でも、ドイツでは、ハムやソーセージの加工品は、1キロの肉から1キロ200グラム以上は作ってはいけないという法律があるんですよ。」
「ほ、ほうりつうう?」
「法律です。ジュースも同じですよ。ヨーロッパでは、果汁100%でなければジュースといってはいけないんです。」
日本はそういう規制も法律もない。
ドイツで、“本物”の食のなんたるかを痛感した鈴木さんは、それを日本の消費者に伝えたいと、ソーセージ教室を始めたのだという。「真面目につくっても報われないというのではいけないんです。ソーセージづくりの体験を通じて、本物のおいしさを知ってもらうと同時に、食を家庭の食卓から見直す機会になってくれればと思っているんですよ。今日は、みなさんに豚肉オンリー、無添加の本物のソーセージをつくってもらいます。」
意気込んでうなずくだいすき隊。アバウトなソーセージ人生とはお別れだ。
材料はシンプル
羊の腸。お店でも手に入る
お話をしながらも、鈴木さんは、テキパキと作業を進めている。
浜名湖そだち豚の挽き肉が入ったボールに、氷を入れたボールに容器を入れて冷やしてあるミルクと、あらかじめあわせておいた香辛料と塩、砂糖を入れ、ハンバーグをこねるときの要領で混ぜ、それを充?器に入れて、腸のなかに送り込み、適当な長さでひねる。工程を記せば、ソーセージづくりは実に簡単。新鮮な肉を使い、作りたてを食べるから、シンプルでいいのだ。
お肉は新鮮なほど、結着力が強い。ミルクを入れるのは、肉だけだと硬くてうまく腸詰めができないからで、冷やしておくのは、おいしいソーセージに仕上げるには、脂肪が溶けないように低温を保つことが大事だから。この日の香辛料は、ナツメグの皮を剥いてからひいたメースとセージ、コリアンダー、胡椒の4種類。塩は、1キロの肉に対して1.6%の16グラム。砂糖は1%の10グラム。市販のものは日持ちをさせるために塩分が3%入っているが、とんきいのソーセージはその半分ほど。肉のおいしさをそのまま味わえる。
ほどよく練り上がったお肉を、ピストル型の充填器にスプーンで詰め、細い管の先端に羊の腸の先をかぶせてたぐり、適当な長さで切って先端を結べば、腸詰めの準備完了。充填器の引き金をひいて、肉を腸の中に送り込んでいくところから、我々の体験がスタートした。
要領は、あまりパンパンにつめ過ぎず、だいたい80%程度におさえておくことと、空気が入らないようにすること。腸がうまく送り出されなくなったら、パットに入った水につけながらやると、スムーズにできる。
新鮮な浜名湖そだちの挽き肉に香辛料をいれる
「香辛料がすごくいい香り。気持ちいいー。なんか料理っていうより工作みたい。おもしろいけど、けっこうコツがいるね」と隊長。学生時代にペンションでバイトをしたとき、ソーセージづくりをしたそうで、今回もはりきっての突撃だ。「羊の腸って4〜5メートルあるのか。長いんだなあ」と、S隊員はいつものように独自の視点で感心している。
香辛料のアロマに癒やされながら、20分ほどで1キロの肉を詰め終わった。先を縛り、出来上がった紐状肉詰めを半分のところでひねって二つ折りにし、あとは適当な長さのところで、2本をX字に交差させてひねり、どちらかの紐を中に通して固定する作業を繰り返す。ひねるとき、その箇所を指でおさえて少し肉を左右に逃がしておかないと、腸が破れてしまうから要注意。パンパンに詰めないのはそのためである。
つぎにミルクを入れる
手早くかきまぜます
腸詰めの中身に出来上がり
腸を充填器の先に通し、中身を詰めます
隊員たちが、破れないように息をつめて作業しているとなりで、鈴木さんの腸扱いは手早く軽やか。「こんな形もできますよ」と、お花の形のソーセージを作ってくれた。
「おお!これってバルーンアートだね」と隊長。言い得て妙である。
お肉を逃がしてあげながらひねります
お花の形にもできます。バルーンアートみたい
ゆで上がりました! 色白です
出来上がったソーセージは、ボイル、または焼いて完成する。ボイルする場合は、肉の脂、つまりうま味が出てしまわないよう70度のお湯で15分。焼く場合は、餃子を焼くときと同じように、皮に焼き色をつけたあと、水を入れて蒸し焼きにする。教室参加者は、生のまま持って帰ってもいいし、ボイルか焼きかをリクエストしてその場で食べてもいい。一般的なのはボイルで、家庭で70度のお湯を保つのは難しいので、参加した人のほとんどはここで茹でてもらう。出来立てをその場で食べられるのも、とんきいの手作りソーセージ教室の魅力だ。
我々も作品をボイルしてもらった。運ばれたソーセージは、予想に反して白い。「どうぞ、何もつけずにそのまま召し上がってください。」鈴木さんの笑顔に促されて、色白のソーセージちゃんに、カプッと噛みつくだいすき隊。反応を期待する鈴木さんに向けた顔は、一瞬は???が頭の上に浮かぶ顔。だが、すぐに、驚きの表情に変わった。
「おいしい!」「うまい!」「これが、本当のソーセージの味だったのか!」「すごい。スパイスとミルクとお肉だけで、こんなにおいしく作れちゃうの?」その言葉を聞いて、鈴木さんが嬉しそうにうなずく。「そうです。これが、本当の味なんです。」
最初に?マークが浮かんだのは、市販のソーセージのように、ひと噛みで肉の味が広がることがなかったからだ。その代わり、手作り色白美人ソーセージは、噛めば噛むほどうま味がわいてきて、味わいが深くなる。市販のものがやたら攻撃的なのに対して、それはおしつけがましくなく、やさしく、たおやか。自然に体になじみ、じわじわと舌を、そして心をおいしさで包んでいく感じだ。ひと言で言うならば、「健やかなおいしさ」である。
「普通のウィンナーは、すぐに香りや味が出てくるものが多いけど、そういうものを添加している場合が多いんです。でも、本当のソーセージというのは、あとから味が出てくるものなんですよ。」
パクッ
噛めば噛むほどおいしい!!!
ううむ。そうだったのか。モグモグカミカミ――。至福のミートワールドを味わいながら、だいすき隊は鈴木さんの話に聞き入った。
「お母さんたちのなかには、ソーセージは子供に食べさせたくないという人もいます。それを聞いて、私はびっくりしたんです。こんなにおいしいものを、なんで食べさせないのかって。でも、いまはだいぶよくなりましたが、日本のソーセージからスタートしているという事情もあって、本当に何が入っているかわからない。これはいかんと思って、この教室をはじめたんです。だから、お値段もそんなに高くなくやっているんですよ。」
ドイツは、全国を網羅するような大手の加工食品メーカーはない。人口2万人の街に、お肉屋さんが4〜5軒あり、ソーセージやシチューやシレーなどを手作りして販売しているという。長く保存しようとするから防腐剤が必要となり、防腐剤を入れるからさらに人口の味を添加するという大手食品メーカーの悪循環は、鮮度と素性のたしかさがもっとも重要な食品という商品と、販売のあり方が完全に矛盾しているからおこる。それがいまの日本の食の実情だ。聞くところによると、フランスにも大手の食品メーカーはないという。ありえないというのが、彼らの考え方。工業国である一方、優れた農業国である国の姿に、羨望を覚える。
「私、マジでこの充填器ほしい!」
噛んでも噛んでも味わいがつきることがないソーセージを食べながらそんなことを考えていると、突然隊長が叫んだ。「マジで」のところに、尋常ではない力がこもっている。
この充填器がほしい
「実は我が家はソーセージ好きなの。簡単だし、この充填器があれば、家で作れるよね」と隊長。「でも、羊の腸は手に入らないんじゃないか?」とS隊員。すると、「となりの店で、売ってますよ」と鈴木さん。「えええ?」と驚くだいすき隊。しかも、充填機はホイップクリームを絞るときに使うような布の袋でも代用でき、それもお店で売っているという。さらに、鈴木さんは、お肉とブレンドした香辛料、羊の腸の自宅でソーセージづくりができるセットの販売も考えているとか。
「やった!そしたら私、庭でハーブを育てて混ぜちゃったりしちゃう」と隊長。「チーズもいいよねえ」とS隊員。「ウチでは、しいたけ入りソーセージとか作ってますよ。にんにくや唐がらし、パセリなんかを入れてもいいですよね。子供さんの嫌いなニンジンとかも、細かく刻んで入れればわからないですからね」と鈴木さん。何を混ぜてもあまりわかんないというソーセージのネガティヴポイントを、逆転の発想でストロングポイントに変えた、見事な案である。
学校やカルチャーセンターでも行われ、毎回申込者が大きく定員をオーバーするとんきいの手作りソーセージ教室は、6人以上集まれば、開いてくれる。参加料は一人1,050円で、350グラムほどのソーセージがお土産につく。もちろんその場で食べることもできる。おいしいだけではなく、食に対する意識を新たにしてくれるし、バルーンアート?も楽しめる。子供さんも簡単にできるので、親子、ファミリーでの参加もおすすめだ。

「ねえねえ、うなぎ入りとかどうかな?あと、遠州トラフグ入りとか。パイナップルもあいそう」と、残ったソーセージを、氷とともに袋に詰めにしてくれたお土産を手に、帰りの車のなかで隊長が言う。「そうだ、私なにかヒットな組み合わせ考えて、とんきいさんに提案してみようかな。」
だいすき隊企画の変わりソーセージがいつかとんきい店頭に並ぶかもしれない。
| [ 所在地 ] | 〒431-1304 静岡県浜松市北区細江町中川1190-1 |
|---|---|
| [ 問い合わせ ] | 電話 053-522-2969 / FAX 053-522-0086 |
| [ URL ] | http://www.tonkii.com/ |
『とんきい』は奥浜名湖カテキット共和国のひとつです
カテキット共和国とは、浜松、引佐、細江のこだわりの仲間たちがつくった楽しいおいしい共和国です。グリーンツーリズムを通じて奥浜名湖の自然が育んだありのままの田舎・自然を体験するミニ共和国です。共和国の大統領は鈴木芳雄(とんきい代表)です。
| 加盟国 | 体験内容例 |
|---|---|
| カクトロコ | サボテン・多肉植物の寄せ植え体験またはみそ作り体験 |
| とんきい | 手作りソーセージ体験、銘柄豚食事 |
| 清水の里 | もちつき体験 |
| つみくさ | つみくさ御膳(山野草御膳)食事/こんにゃく作り、野草フラワーアレンジなど体験 |
| てんてんゴーしぶ川 | つつじ鑑賞など季節の体験 |


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