体験レポートバックナンバー

イメージ:浜名湖競艇の様子 浜名湖でカート&ボート その2 浜名湖競艇に挑戦
浜名湖ボートは、お洒落で知的な大人の遊びです
 午前中にカートをぶっ飛ばしただいすき隊。午後は『浜名湖ボート』に突撃した。隊長も私も競艇は初体験。S隊員が連れてきた、この道ン十年の特別講師を隊員に加え、2000円を元手に、それぞれの胸に無謀な夢を秘めて挑戦したその結果は果して・・・。初心者の方には、うってつけの競艇入門ガイドにもなるだろう(?)だいすき隊ギャンブル体験リポートをどうぞ。
ふくらむ夢

 「ねえねえ、競艇の選手って、たとえば、ハルウララとか、特別な名前でレースに出ているの?」と隊長。

 「競馬馬じゃないんだから。本名で出てるよ」とS隊員。

 「じゃ、私、森さんという選手がいたら買っちゃう!」

 新居町の港ちかく、有名な『魚あら』でお昼に名物『活海老天丼』を食べている間も、隊長の目はハートになっている。「それか、私やっぱ顔で買っちゃうと思う」。S隊員と私は、それもいいんじゃない?とうなづく。隊長のラブラブモードは1日続きそうだ。

写真:入り口のカウンター
▲ 入口で予想紙を買う

 ギャンブルで喚起される射幸心というものは、最初は無邪気なものだ。実際に夢破れるまで、夢を際限なくふくらませる。「私、ボートで儲けて、またカートに乗りにいく資金をつくる」と隊長。可憐な乙女心だが、それなら元手として設定された2千円をそのまままわした方が早いだろう。「俺は、2千円をとりあえず1万円にするよ」と言うのはS隊員。「私はね、最初百円かけて、それを五百円にして、次にその五百円を3千円にして、最後は2万円にするよ」と続いて鼻をふくらませたのは私だ。競馬初体験のとき、おサイフを忘れてしまった私はダンナにとりあえず百円を借りて最初のレースに賭けた。するとそれが五百円になり、千円にになり3千円になり、、最終レースのダービーもとって、見事百円を2万円にしたことがあるのだ。

 と、「みんな、言うことが小さいよっ」。隊長が目をもとの形に戻してタンカを切った。「カート代なんて、みみっちいことはやめた。私は2千円を10万円にして、車検代にするっ!」。大きいようで小さい夢だ。

まるでショッピングモール
写真:改札口のような入場ゲート
▲ 入場料は100円
予想紙のイケメンの写真を指差す隊長
▲ 森さんから乗り換えた隊長

 競艇場のエントランスは、とてもきれいだ。ちぎれた舟券などが散らばっているかと思っていたが、そんなものはまったくない。洗練された佇まいに、まず驚く。入場ゲートの横の窓口では予想紙が売られている。4種類くらいあって、売り子さんが「ウチのが一番当たるに〜」と声をかけてくる。ニコニコ顔のおじさんの窓口に行って1紙購入。おつりをもらいながら、「絶対当たる?」と聞くと「絶対当たるなら、こんなとこいやへんよお」とニコニコおじさん。そりゃそうだ。

 予想紙にはこの日のすべてのレースの出走表と、ありとあらゆるデータが出ているので便利。初心者は買った方がいい。最終メインの12レースについては出走する選手の顔写真も掲載されている。「私、絶対このワタナベくんがいい!」。隊長が指さした選手は、たしかにかなりイケメン。しかし森さんはどこへ?短い恋だったようだ。

 百円コインを入れると通過できる仕組みの入場ゲートを通り、中に入ると、エントランスで抱いた驚きは、驚愕となった。吹き抜けのホールにエスカレーター。まるでパリのショッピングモールだ。

写真:キレイな廊下 写真:吹き抜けのホールを見上げる隊長
▲ パリのショッピングモールみたい

 「もっとさー、イカの匂いが漂っている感じだと思っていたのに、何なの、この大理石な感じは」と隊長。「ワンカップ大関がゴロゴロしてるかと思ってたのに」と私。「そうそう。イカをキッて噛みちぎりながら、ワンカップ飲んでペッ、みたいな。ね?」

 ペッ、の意味はわからないが、だいたい同感だ。エスカレーターを登って2階に上がると、前面のガラスの向こうに湖のレース場のパノラマが広がる。日差しがいっぱいで、これも想像をまったく裏切る光景である。

 平日の昼間とあって、お客さんの数は多くはない。ガラスの前の観戦席も、ゆったりとしてすいている。ギラギラとしたおじさんたちでいっぱいという想像も外れていた。だが、おじさんたちのくすんだダーク系ファッションと背中のまるさは、想像していた通り。パリのショッピングモールのような施設と、おじさんたちのとりあわせは、ちょっとちぐはぐだ。

 「若い女性は、私だけだね」と隊長。じゃ、私は何なんだよ、という言葉をぐっと飲み込んだところで、S隊員が2人の男性を連れてきた。初心者の隊員たちに特別に競艇を指南してくれる先生たちである。「この道ン十年のモノホンだから」とS隊員に紹介され、「よろしくおねがいしまーす」と若い女性2人が頭を下げると、観戦席の後ろにある記入台で、先生たちがさっそく初心者講座を開いてくれた。

買うのは簡単。予想は困難
写真:先生と固まって教えてもらっている隊員達
▲ 初心者講座
写真:マークシートに書き込む様子
▲ マークシートに予想を記入

 舟券の種類には、2連単と2連複、3連単と3連複がある。『単』は着順も当てる券。『複』は以内に入るボートを当てる券。たとえば2連単なら1位と2位を。3連複なら、着順に関係なく3位以内に入る3つのボートを当てるということである。舟券購入は、マークシートに舟券の種類、開催会場、レース番号、予想番号、購入金額などを記して、自動券売機にシートとお金をいれればOK。最低金額は、百円。購入方法は簡単だ。だが、予想は難しい。

 だいすき隊が記入台についたときは、この日の第8レースが始まる直前。先生の講義を聞いていると、プルプルプルとベルが鳴り「第8レースの舟券販売締切りまであと3分です」とアナウンスが流れた。急いでテキトーにマークして券売機の方に走る私の背中に、「もう買うのか。データ見なきゃわからんのに」と先生が声をかけたが、走り出した射幸心は止まらない。「でも、この予想があたってたら後から悔しいですから」と、制止を振り切って百円を投じたが、結果は見事に外れ。かすりもしなかった。

鍵は、インとタイム
写真:舟券を買った隊長
▲ 舟券を購入

 「ほらね」と先生。「まず試走を見て、そこから出たデータを見ないことには、当てられへんよ」と言いながら、予想紙に何やら数字を書きこんでいる。1番艇のところに0.57、2番艇は0.66・・・。その数字は、各艇がスタートラインにつっこんだときの誤差だそうだ。簡単に言えば、その数字が小さいほど、加速力に優れた速い艇ということになるという。

 競艇は、本番レースの前に試走があり、この試走に結果のヒントが潜んでいるのだそうだ。観戦席に向かって左手奥に、各艇が1線に並ぶゲートがあり、まず最初の試走では、そこから一斉にコースの手前にあるブイまで走りまわりこむ。そこで一番内側をとった艇が、本番でも一番内側のコースでスタートできる。つまり、ここでスタート位置が決まるのだ。内側の1〜3の艇は、スタートラインのわずか手前のラインで揃ってスタートし、インのとりあいの試走で外側となった4〜6の艇は、そこからかなり後方のラインに並びスタートする。圧倒的に有利な内側に対して、外側の艇は助走距離が与えられるわけだ。先生が書き入れていた数字は、スタートラインにどの艇が一番速く入ったかがわかるデータ。インのとりあいのあと、本番のつもりで1周のレースが行われ、その試走レースでその数字が計られてすぐに前面の電光掲示板に示させる。

 「本番レースはボートがコースを何周かするが、最初の1周目で一番内側でターンした艇が一番トップになりやすい。で、その最初のターンでトップになった艇が、よほどのミスやアクシデントがないかぎり、優勝するんだよ」と先生。つまり、レースはほぼ最初の1周、最初のターンで決まり、そこで誰がトップに立つのかは、誰が最もインのコースでスタートするか。それと、誰が一番速くスタートラインに突っ込むかのタイムの2つの要素でほぼ決まるというわけだ。

1に賭け、1に散る
写真:湖を走る競艇
▲ 迫力のスタート

 「うむむ〜」と、うなるだいすき隊。

 そんなことも知らずに8レースを賭けた私は確かに無謀だった。顔を上げると、湖では9レースに出場する艇が、インのとりあいをやっている。目を凝らしてみると、1番艇がインをとったようだ。1番の艇は、ゲートも一番内側だった。ということは、1番がインをとるのに最も有利ということだ。「その通り」と先生。最も外のゲートからインのとりあいをする6番艇は、最初から不利。その有利不利と、選手の実力を見極めて、面白いレースになるように、レース管理者がどの選手がどのゲートに入るかを決めているのだ。

 「今日のこれまでのレース結果をみても、ほとんど1が1〜3着に絡んでいるだろ。絡んでいないのは、1レースしかない。1は有利なんだよ」と、先生。「ホントだ」とだいすき隊。素直な私は、9レースの予想には1を絡めた。

写真:湖を走る競艇
▲ 最初のコーナー。ここで勝負が決まる

 ところが、本番レースでは1が伸びない。インをとったし、試走タイムもいいのに、1が来ない!「6だ!」「5だね!」「2か?」とみんなが騒ぐ。「ちょっと、私の1は?」と私がわめく。「1はどうしたのよ!1は!何やってんのよ!」次第に私の射幸心は凶暴になっていく。「イチーッ!」絶叫したが、虚しかった。1はビリだった。結果は、6ー2ー5。6も2も5も予想したが、全部に1を絡めたおかげで、全部外れた。悔しい。

 「惜しかったなあ」と後方で先生がつぶやいた。先生も1で外したかと思いきや、「俺は、1を絡めなかったところまではよかったんだがなあ」。どーゆーこと?!さっき、1がからむって言ったじゃん! 「いや、かたいのを当てたってつまらんでしょ」と先生。なるほどそういことなのか。でも、ひどいじゃん。

男なら、タンを買え!
写真:楽しそうな笑顔の二人の先生
▲ この道ン十年
写真:メモが記入してある先生の予想紙
▲ 先生の予想

 9レースの6ー2ー5の払い戻し金は、3連単だと15650円。100円が15650円になるということだ。ところが、3連複だと1660円。2連単だと7070円。複だと2710円。かたい券、つまり勝つ可能性が高いのでオッズが低く、あたってもあまり払い戻し金が多くない予想をしてもつまらないと先生が言ったが、それでいうと『複』はつまらない。隊長もそのことに気がついたようだ。「やっぱボートはタンよね!男ならタンで買えってことでしょ」。同感だ。

 10レース。S隊員は、選手の血液型で選んでいる。予想紙には、さまざまなデータが並んでいる。出身地、誕生日、最近のレース結果などなど。全部を解読するには、複雑でシロートには無理だ。

 試走をみると、またしても、1がインをとった。先生の予想は1ー3ー4。「1が一番タイムがいいし、A1だから」と言う。A1というのは、勝率のランク。A2、B1、B2と4段階ある。もうひとりの先生も同じ1ー3ー4の予想。「みんな同じじゃ、オッズが低いでつまらんな。だとしたら、1ー2、1ー5、1ー6か」と先生A。「いや、6は絶対にない。タイムがずぬけて悪いじゃん」と先生B。「6が来たら大穴だな。やっぱ1じゃつまらんな」と先生A。プロの会話は深い。

責任とって
写真:予想屋のおじさん
▲ 穴勝負の予想屋さん
写真:4-3、4-1と書かれた紙
▲ これが予想屋の予想

 プロはそんな風に悩んでいるが、われわれもわれわれで、顔で悩んでいた。「このイトウくんがかわいいよね」と隊長。「4番もいいと思う」と私。われわれの会話もある意味、奥深い。隊長はどうやら顔で決めたらしいが、私は決められない。そうこうするうちに締切り3分前のアナウンス。前のレースが終わったら、すぐ次のレースの試走が始まる。予想紙をみていろいろ考えていると、あっと言う間に締切り間近になる。競艇は、けっこういそがしい。ボー族のわれわれにはちょっと酷なテンポ。過去はどんどん切り捨てていかなければ次に進めない。私は3分前になって、ようやく9レースを忘れることができた。だが、それではもう遅いのだ。仕方がないので、私は予想屋さんに頼ることにした。

 通路には予想屋さんのコーナーがあり、「さあ穴からねらいなー穴からー」と掛け声をかけている。「くださいな」と行って3百円を払うと、おじさんが小さな紙を渡してくれる。紙にあった数字は4ー3と4ー1。券売機前に駆け込み、締切りギリギリで2連単を購入。しかし、これも外れ。先生に言うと、こんな目はあるはずないと言う。そういえば予想屋さん、「穴からねらえー」と言ってたっけ。穴予想じゃ外れる確率は高い。でも、責任はとって欲しい。予想屋さんとの私の間に、永遠にとけないわだかまりが残ってしまった。

 このレース、ゴールの瞬間ガッツポーズをとったのは隊長。当てたのだ。「やった!あたしって天才!」と叫びながら見せてくれた舟券は、1ー3の2連単を2百円と1ー3の2連複が2百円。なぜに、タンプク両方買うのか。意味がわからない。それなら、1ー3の単と3ー1の単を買えばいいのに。しかも隊長は男ならタンを買えと言っていたのではなかったか。が、とりあえずこれで500円の儲け。車検代まであと99,500円だ。

ありえない、に賭けて玉砕
写真:舟券を見せて笑顔で写る隊長とS隊員
▲ 当たった2人

 11レース。これを含めてあと2レースしかない。1,200円負けている私の中では、ギャンブル魂が危険な燃え方をしはじめた。大きく賭けて、大きく儲けようという気持ちだ。電光掲示板のオッズ表に目をやると、2番がらみの舟券のオッズは99.9 。ありえないということだ。「ねえ、2番ってありえないよね」と私がいうと、隊長は「ありえないということは、ありえないのよ」、とめちゃめちゃ深いことを言う。当てた自信がオーラとなって、なんだか近づきがたい。

 先生たちは、予想基準に選手のモチベーションを持ち出している。この浜名湖ボートの会期のレースは、大きなレースの予選なのだそうだ。これまで好成績をあげてポイントを重ねている選手はもう本選に出られることが決まっているので、やる気が低いという。そんな見方もあるのだ。これまた奥深い。

 しかし、私は穴でいく。隊長の言葉に励まされて、大穴の1ー2に800円投入したが、また外れ。一方、隊長はまた当たり。「もう外れる気がしないわ」と言ってふふふと笑う。憎らしい。

 最終レースまでやると、帰り道が混むからと、ここで先生2人は終了。「じゃ、今まで当たった舟券を払戻にいこうか」と声をかけられた「はあい」と応えた隊長、返事をしない私に向かって「あれ?払い戻せる券ないの?」ますます憎らしい。

イケメン3連単で勝負!
写真:予想紙を真剣に見る隊長
▲ 予想に没頭する隊長

 いよいよ最終12レースだ。「ねえねえ、私やっぱワタナベくんがいいな。デモトくん、ハラダくんもいいな。イケメン3連単でどうかなあ」と隊長。余裕だ。私もデモトくんはいいと思う。しかし、データでいうと、1と6が強そうだ。しかも、断トツに強そうなのだ。顔か実力か。迷う。結果、私は、顔と実力の両方をとった。6ー3の2連単に、ええい!と自腹をきって千円投入。結果は、6ー1。中途半端な賭け方で勝てるほど、ボートは甘くないのだった。

 「やっぱ男は顔じゃないわよ!」と隊長も悔しがっている。イケメン3連単にすべてを賭けて、すべてをすった隊長の収支は0円。私は自腹で千円のへこみ。だが、3時間スリルと濃厚な推理を楽しめたのだから、安いレジャーだ。帰りがけ、洗練されたショッピングモールの一角に、キャッシュディスペンサーを発見。最後に熱くなってしまった私のようなタイプにとって、これは危険な存在。ギャンブルを知的な大人の遊びとするか、否かはやる人次第。だが、施設の美しさ、雰囲気の明るさからして、浜名湖ボートには前者が似合うと思った。


ページの上に戻る