Home> 浜松元気人

浜松元気人

オーストラリアから移り住み、引佐の山で天体観測所『ディスタント・サンズ』を開くジョーンズ・レイさん

清冽な空気に包まれ、冬は雪化粧を装うこともある引佐町渋川。愛知県との県堺に近いその山の頂きに、小さな天体観測所『ディスタント・サンズ』があります。開いているのは、奥様の智芳子さんとともにオーストラリアからこの地に移り住んできた、ジョーンズ・レイさん(45)。小さい頃から星と日本に魅せられ、山間の豊かな自然の中でドリームライフをかなえた青い目の浜松人が、今月の元気人です。

「ここには、雪が降リます。景色がスゴイきれいデス。」と、ジョーンズさんが言うと、「この当たりでは、ここと向こう側の“ひよんどり”の祭りが行われる山だけ積るんですよ」と、日本語まじりの英語でひと言ひと言をていねいに語ってくれるジョーンズさんの通訳をつとめてくださった奥様。庭に、2台の天体望遠鏡がおさまった観測ドームがあるジョーンズさんご夫妻の家。その南側、さえぎるものなく眼下に広がる山里のパノラマは、お話をうかがったリビングの窓からも、一望できます。星と日本が大好きなジョーンズさんが、この地に越してきたのは、3年前でした。

「リビングトゥギャザー」。そこが素晴らしい


日本には、20年くらい前から何度も遊びに来ていたし、ビジネストリップでもときどき来ていました。大阪や名古屋、沖縄の石垣島、青森、京都・・。たくさんの街を訪れていました。
私は、子供の頃から日本が大好きだったんです。14歳からカラテをやっていたし、サムライも大好き。日本の武道や文化に興味があったし、オーストラリアのテレビでも放送されていた時代劇も好きでした。

日本への最初の旅で、富士山を見たんです。素晴らしくきれいで、とても感動しました。泣いてしまいましたよ。いまでも忘れられません。それともうひとつ驚いたのが、日本の人は、電車やバスで眠るけど、自分の駅につく直前になると「マイステイション!」と気がついて起きること。不思議でしたよ(笑)。どうしてわかるのかって。それはいまでもミステリーです。私にしてみれば、奇跡です(笑)。オーストラリアの人々は、乗り物の中では起きています。新聞を読んだり、窓の外を眺めたりしていて、寝る人はいません。だから、すごく驚きました。でも、そういうところも好きです。愛すべき人々です。

何と言ったらいいのか、日本の人々は「リビングトゥギャザー」、お互いが親密で、助け合って暮している。そういう印象です。そこが素晴らしいと思います。ここに来るとき、外国人は私一人なので、最初は少し心配しました。でもそれは必要がないことだったと住み始めてすぐにわかりました。みなさん、とても親切です。毎朝、「おはようございますジョーンズさん。元気ですか?」って声をかけてくれます。本当にみんなスゴイ親切です。
渋川はとてもいい所です。素晴らしいロケーションです。美しい景色、きれいな空気、そして、電気は少し。そういう中で、みんなにこやかで、楽しそうに暮しています。みんなハッピーですから、私もハッピーですよ。

ページの先頭へ

ジョーンズさんは、シドニーの出身。アドバタイジングの会社やIT関係の会社員として多忙な日々を送っていた頃、ツアーガイドとしてシドニーで働いていた智芳子さんと知り合い結婚。2人の子供さんとともにオーストラリアで暮していましたが、奥様のご両親が高齢になり、孫に会いに来ることが難しくなってきたことをきっかけに、日本への移住を考えはじめました。当時、IT関係の会社を経営していたジョーンズさんにとって、移住は仕事を失うことを意味しましたが、04年に細江町出身の奥様の故郷へ一家で移住することを決意。その時、ジョーンズさんが出した条件が、「趣味である天体観測が出来るところに住み、天体観測を仕事にすること」でした。

感動してもらえことが、うれしい


ここはとても便利です。妻の実家にも通えますし、浜松から車で1時間くらいですし、セントレアエアポートにも近い。3年後には、新しい道路(三遠南信自動車道)が通ってもっと便利になります。
一番いいのは、星がきれいなこと。水窪もとてもきれいですけど、ちょっと遠くてお客さんが来られません。でも、ここなら沢山の人に星を見てもらえます。

私は6歳のときから星の本に夢中になって、10歳のときに新聞売りのアルバイトをしてお金をためて、最初の望遠鏡を買いました。とてもうれしかったですね。初めて見た星は、オリオン座のリーガル。小さい望遠鏡だったから星も小さかったけど、火星を初めて見たときは「オーッ!本当に赤い!」って感動したことを、おぼえていますよ。
日本では、オーストラリアでは見えない星が見えます。南十字星は見えないけれど、北極星や、カシオペアが見えます。オーストラリアでは星雲が沢山見えるけど、銀河はあまり見えません。でも、ここでは沢山の銀河が見えます。アイドロメダの美しさは、素晴らしいですよ。30万光年離れた、一番近い銀河です。とても大きくて、とてもきれいです。
天体観測に一番いい季節は、冬です。空気が澄んでいますから。
11月12月もいいけれど、まだ少し温かい。一番きれいなのは1月2月ですね。ときどきマイナス8度くらいになるけれど、美しい星を見ていると、私も、お客さんも不思議なことにあまり寒さを感じません。

私はこれまで沢山の星を何度も見て来ました。だから、いまは自分が星を見ることよりも、お客さんたちに星を見てもらうことが私の楽しみです。初めてここに来て星を見た人は、誰もが星の多さにびっくりします。そして、感動してくれます。それが、うれしいですね。
もうひとつの楽しみが、天体の写真を撮ることです。天体写真が、いまの私の趣味です。私の天体観測所には25センチと35センチの2つの望遠鏡があります。GPS機能が搭載された望遠鏡をコンピュータで制御してデジタルカメラで撮影するのですが、きれいに撮影するのは、すごく難しいんですよ。星の光をとらえるには、20分間くらいシャッターを開けていなければなりません。地球は回転していますから、その間常に星にフォーカスするよう望遠鏡の向きを制御しなければならないのです。1ミリずれてもダメですし、少し風が吹いただけでもダメ。本当に難しいですね。でも、だから楽しい。難しいから好きなんです。脳のトレーニングになります。

ページの先頭へ

平日は地元の一般の方や学生さんたちに英会話を教える仕事をしていて夜遅くの帰宅となるため、スターガイジングは土日だけ。しかし、天文ファンだけではなく、熱心にわかやすく説明してくれるジョーンズさんの人柄に触れられることや、望遠鏡をのぞきながらの英会話を学べることも魅力となって、『ディスタント・タンズ』には毎週多くの人が訪れています。小学生を対象に、昼は川や野原へピクニックに行き、夜はオーストラリアンスタイルのディナーと天体観測で豊かな自然と異国の文化に触れるホームステイも人気で、予約は2年先までいっぱいです。

“ビッグシーチェンジ”をして成功しました


私は、このビジネスをあまり大きくしたくないんです。1度に6〜8人くらいが調度いいと思っています。なぜなら、その方がお客さん一人ひとりとより親密になれるし、楽しい時間を過ごせますから。少人数の方が、みなさんいい質問をするし、私も深くこたえることができます。リクエストにもこたえられます。そういう触れ合いが楽しいのです。大きくすることには、興味がありません。

ホームステイのプランも、1度に来ていただくのは2人です。何度も来てくれる子供さんもいます。ここでホームステイすると、オーストラリアっぽくなって帰っていくようですよ(笑)。送り出した親ごさんは、わざわざ遠い外国に行かなくても、ここに来ればオーストラリアに行ったような経験を子供さんたちができるとよろこんでくれているようです。
私は、このスモールカントリータウンが本当に好きです。この生活をとても気に入っています。確かに、ショッピングは計画的にしないといけないですけどね(笑)。何かが足りないときに、すぐには買いにいけないですからね。でも、そういうことがないように、1週間に一度、きちんと計画的に買い物をすれば、何も問題はありません。むしろ、いいことの方が、ずっと多いです。

ここにはマクドナルドもレストランもデリバリーピッツァもありません。おかげで、私の健康状態は非常によくなりました。シドニーにいたときは82キロあった体重が、いまは67キロです。妻と2人で40キロか50キロ減りました。近所の方が、野菜を沢山くださるし、とてもヘルシーな食生活を送っています。
それに、私がここを気に入っているのは、何より子供たちの教育にとてもいいところです。2人が通っている小学生は、全校生徒が19人。先生が11人ですから、まるでプライベートスクールみたい。子供たちものびのびと暮しています。

一生懸命お仕事をしても、ノットリッチマネーですけど(笑)、ザッツオーケー。関係ありません。グッドライフスタイルです。確かに、都会で会社を経営していた頃の暮しと、まったく違う生活になりました。ビッグチェンジです。英語では、全然違う仕事に就くことを、『シーチェンジ』と言います。たとえば、弁護士がフィッシャーマン、つまり漁師になるような転身ということで、SEA(海)チェンジと言うんですね。私の友人に「シーチェンジしたね」とよく言われます。その通りです。“ビッグシーチェンジ”をして、成功したと思っています。
夢ですか?ちょうどいま、『ホームズ彗星』がよく見えるんですが、いつか新しい彗星を見つけたら、“ジョーンズウチヤマコメット”と名づけたいですね。ウチヤマというのは、妻のファミリーネームです。

でも、本当の私の夢はもう叶いましたよ。いまの暮しが私の夢です。子供の頃から好きだった日本で、子供の頃から好きだった天体観測の仕事ができて、大好きなカントリーライフをしているのですからね。あとは、子供たちに、日本の暮しを楽しんでほしいというのが私のねがいです。勉強もしっかりやって、遊びもしっかりやって、田舎の生活を、日本を楽しんでほしいと思っています。


Spring Time at Distant Suns Observatory


Holmes 17P Comet


M42 Orion Nebula


Saturn

ディスタント・サンズ・ジャパン

静岡県浜松市北区引佐町渋川 2128-3
TEL: 053-545-0390
http://www.distantsuns.jp/japanese/index.html
astro@distantsuns.jp

ページの先頭へ

イベントサーチ